ある夏の日の朝、洋次郎はこう呟いた。
「たまごサンドが食べたい」
スクランブルエッグをパンで挟んだ至高の逸品を食したいとそう思ったのである。
すると彰はちょうどよかったといい、たまごサンドを差し出した
洋次郎は驚いた。たまごがめちゃくちゃ分厚いのである。
洋次郎が尋ねると彰は大阪で人気のたまごサンドだという。
洋次郎は憤慨した。これはたまごサンドでではない。これは卵焼きサンドであると。
彰も反撃する。スクランブルエッグも焼いているから卵焼きサンドではないかと。分厚い方がお得だと。
しかし洋次郎は譲らない。自分のシミュレーションだと卵が強すぎると、これだとパンで挟む必要性がない。と
彰も反撃する。ずっしり感がいいのだと、パンで挟むことで食感がフィットするのだと
熱意に押され洋次郎は彰の持つたまごサンドを食べた。
洋次郎はそのおいしさに涙を流した。
そしてこういった
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、悪い夢を見た。君がもし私を殴ってくれなかったら、たまごサンドを食べる資格さえ無いのだ。殴れ。」
彰は、すべてを察した様子でうなずき、ちから一ぱいに鳴り響くほど音高く洋次郎の右頬を殴った。殴ってから優しく微笑ほほえみ、
「洋次郎、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はスクランブルエッグで挟むたまごサンドを疑った。君が私を殴ってくれなければ、私はたまごサンドを食べることができない。」
洋次郎は腕に唸うなりをつけて彰の頬を殴った。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
そこに祐介がやってきた
祐介はそんな2人を見てドン引きした。
祐介は話を聞くとスーパーのレジ袋からあるものを取りだした。
たまごサンドである。
しかし普通のたまごサンドではない。ゆで卵を輪切りしたものとレタスやらを挟んだサンドイッチであった。
洋次郎は憤慨した。顔はゆで卵のようにゆであがった!
洋次郎はいった。
「これは邪道だ。焼いたものを挟んだものがたまごサンドであるのだ!」彰も頷いた。
祐介は反論した。「逆である。そもそもはこちらのゆでたものが主流。1905年のイギリスの料理本にも記載されている由緒正しきたまごサンドである」
しかし洋次郎は譲らない。自分のシミュレーションだとゆで卵とパンでは水分がなさすぎる。ぱさぱさしてまるでサハラ砂漠だと。
祐介も反論する。「紅茶とかコーヒーとかといっしょに食べればいいじゃないかと」
熱意に押され洋次郎は祐介の持つたまごサンドを食べた。
洋次郎はそのおいしさに涙を流した。
背後から他二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
どっと歓声が起った。
「万歳、たまごサンド万歳。」
その様子をやってきた智史が見てドン引きした
その手にはたまごサンドだ。
しかし普通のたまごサンドではない。ゆで卵をつぶしてマヨネーズで和えたタイプである。
洋次郎は憤慨した。もはや普通のたまごサンドとは何かわからなくなっていたがこれだけは言える。「これはたまごサンドではない。たまごサラダサンドである」
智史は答えた「ローソンでたまごサンドって売ってたよ」と
洋次郎はさらに憤慨した。なにがローソンだと。law(低い)son(息子)だとそんなに価値の低い息子だからそういった過ちを犯すのだと。おれの愚息はでっかいぞと裸になってそう豪語した
智史は裸になって答えた「ローソンのソンはsonじゃなくて損だよ」と
正論を言われて困った洋次郎は智史持つたまごサンドを食べた。
洋次郎はそのおいしさに涙を流した。
男4人裸で涙した。
祐介はへっくしゅんとくしゃみをした。
彰は今まで一つのカタチに洗脳されていたと後悔した
智史はたまごサンドってすごいんだなあ・・とひとりごといやふたりごとを呟いた。
洋次郎はたまごサンドのためにできるものはあるかいと言った
4人は誰からともなく楽器をとり裸のまま奏で始めた。
『君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ
そのぶきっちょな笑い方をめがけて やってきたんだよ
君が全然全部なくなって チリヂリになったって
もう迷わない また1から探しはじめるさ
むしろ0から また宇宙をはじめてみようか』
鶏に卵にいや0の状態、虚無の状態さえもエッグ味を感じてたまごサンドを礼賛した。
この楽曲のすばらしさに感動したニワトリのシンカイはこう呟いた。「君の名は・・・?」
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件・楽曲とは一切関係ありません。
ランダム単語シリーズでした
たまごサンドよりハムサンドの方がすき