バルバロムの思考迷路

思ったことを書く。いいことも悪いことも。要は掃き溜め

たぶんアンパンマンは現世で生き残れない

時は令和3年、辺境の地にあるパン工場にもコロナウイルスの波が押し寄せていた

 

コロナウイルスの影響で学校は休校

学校にパンを配達していたしょくぱんまんは収入が途絶える

小麦もなかなか入荷が遅れ、苦境に立つパン工場

それでも、街の人にパンを届けるため、アンパンマンの顔が腐らぬようにジャムおじさんたちは休まず働いていた。

 

そんなとき!パン工場に危機が訪れる!

 

ピンポ~ン

 

バタコ「は~い」

 

労働基準監督署です。突然ですが御社の調査を行いたいと思いますのでご協力願えますか。』

 

ジャム「ええええ」

 

まるでマスオさんのような驚嘆の声を上げたジャムおじさん。いきなりの労基の登場に狼狽えまくる。あまりに怪しいのでジャムおじさんは、別室に連れていかれました。

 

労働基準監督署の調査は、主に以下3つの項目に関して、「労働基準法」に抵触していないか調べることを目的に行われます。(1)労働時間の管理(長時間労働・未払い賃金等)(2)労働条件の不利益変更や不当解雇、(3)安全衛生に関する事項(健康診断等)

 

労基「まず勤務状態について教えてください。」

バタコ「私たちは年中無休で一生懸命パンを作っています」

労基「何時から何時まで」

バタコ「朝早く起きてパンを作って夜は仕込みをしています」

労基「長時間労働ですね」

労基「給料はどのくらい貰ってますか」

バタコ「給・・・料・・・?」

労基「賃金未払いですね」

労基「そこのパンの人は?」

アンパンマン「毎日パトロールして町の平和を守っています。」

労基「それは警察の仕事ですね」

アンパンマン「でもばいきんまんが・・」

労基「それは保健所の仕事ですね」

労基「給料は?」

アンパンマン「奉仕の精神で行っています。僕の顔食べますか?」

労基「衛生的に問題あるので・・・」

 

チーズ「アンア~ン」パンをこねながら

労基「!???!??!?」

 

 

労基「う~んこれはひどい

 

「ジャムパン工場

・業務内容:食品製造、配達、見回り、戦闘

・契約期間:死ぬまで

・試用期間:なし

・就業場所:パン工場および街もしくは世界

・労働時間:5時~23時

・賃金:0円(他社の喜ぶ顔が報酬です)

・加入保険:なし

・休日:なし、有給休暇なし

 

 

労基「あと横に変わった車がありましたけれど」

バタコ「あれはアンパンマン号よ」

労基「車検通ってます?あれ」

バタコ「いつもジャムおじさんが整備してるから壊れませんよ!」

労基「そういう問題じゃないです」

アンパンマン「僕は飛ぶので乗りませんよ」

労基「それも許可取ってます?」

アンパンマン「???」

労基「航空法違反ですね」

 

一方そのころばいきんまんも苦しんでいた

 

ばいきんまん「コロナめ。ソーシャル何とかやコロナ対策かで除菌しまくられて。そのうえ、外出制限で悪さができないぞ」

 

そういうところは謎に律儀に守るばいきんまんであった。

 

そのとき!!

SATがアジトに突入。アジトを殺菌消毒し始めた

 

ばいきんまん「ああああああああああやめろおおおおおおおおお」

 

ばいきんまんドキンちゃんは死んでしまいました。

あと、ホラーマンは海に投げ捨てられました。

 

 

その時、ジャムおじさんは留置場にいました。

あまりの労働条件の酷さに逮捕されてしまったのです。

ジャムおじさんは取り調べを受けますが要領をえない答えしかしません。基本的な学がないのです。

取り調べは長期化します。

 

パン工場は家宅捜索そして業務停止命令を受けました。

しかしパン工場は工場でもあり、住居でもあります。

 

バタコさんは自室に軟禁状態になります。

チーズは保健所に連れていかれました。

アンパンマンも寂しそうです

 

 

本拠地、小学校で迎えたかびるんるん

先発カレーパンマンが大量失点、他のパンたちも勢いを見せず惨敗だった

街に響く住民のため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声

無言で帰り始めるパン達の中、アンパンマンは独りベンチで泣いていた。

劇場版で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる食品のなかまたち・・・

それを今の工場で得ることは殆ど不可能と言ってよかった

「どうすりゃいいんだ・・・」アンパンマンは悔し涙を流し続けた

どれくらい経ったろうか、アンパンマンははっと目覚めた

どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した

「やれやれ、帰ってパトロールをしなくちゃな」アンパンマンは苦笑しながら呟いた

立ち上がって伸びをした時、アンパンマンはふと気付いた

 

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」

ベンチから飛び出したアンパンマンが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった

千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにアンパンマンマーチが響いていた

どういうことか分からずに呆然とするアンパンマンの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた

アンパンマン、パトロールだ、早く行くぞ」声の方に振り返ったアンパンマンは目を疑った

「ジ・・・ジャムおじさん?」 「なんだアンパンマン、居眠りでもしてたのか?」

「こ・・・故しょくぱんまん?」 「なんだアンパンマン、かってにしょくぱんまんを死んだことにさせやがって」

ロールパンナさん・・・」  アンパンマンは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた

1番:ロールパンナ 2番:メロンパンナ 3番:アンパンマン 4番:ばいきんまん 5番:しょくぱんまん 6番:カレーパンマン 7番:チーズ 8番:バタコ 9番:ジャムおじさん

暫時、唖然としていたアンパンマンだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった

「勝てる・・・勝てるんだ!」

バタコから顔を受け取り、フィールドへ全力疾走する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

 

翌日、公園のベンチで冷たくなっているアンパンマンが発見され、カバおと天丼マンは病院内で静かに息を引き取った